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深夜便の格安航空券は、帰りの便は自由に選択できる(日曜日帰国不可)。16時40分に香港を飛び立つCX502は、新幹線を利用して帰るカリメロさんには時間的につらいので、最大限香港に長く滞在できるCX564を選んだ。13時10分香港を飛び立ち台北を経由して関空に19時40分に到着する。今回初めて使ったのだが、経由地の台北で希望者には飛行機を降り免税店で時間をつぶすことが出来た。約50分間二人でぶらぶら見ていたとき、あるブランドバッグの前で

「昔、このバッグ買ったんですけどボロボロになってもうて」となにげなくつぶやいたら

「実は、私も使っててボロボロになったんですが、替えてくれましたよ。タダで。」

「えぇっ!ホンマですか?カリメロさん。」

「私の兄も持ってまして、百貨店から無償で交換するってハガキが来たから、お前も交換してもらえって教えてもらって。」

神の啓示に違いないと思った。カリメロさんと会ってなかったら・・・CX564を使ってなかったら・・・台北で降りてなかったら・・・バッグの前でつぶやいてなかったら・・・。

CX564は予定より少し早い日本時間19時10分(香港時間はマイナス1時間)に関空に到着、入国審査、通関を無事に通り、19時48分はるか52号に乗り込んだ。私はバスでも良かったのだが、天王寺までご一緒することにした。電車の中での30分、カリメロさんと話しをしながら心の中では色々と反省していた。楽しんでいただいただろうか?ああすれば良かったかもしれないなどと考えているうちに天王寺に到着した。

プラットホームに立って窓越しのカリメロさんを見送る。お互い少し疲れた笑顔で見つめあう。初めて知ったのだが、停車時間が異常に長く、照れて視線をそらす。ゆっくりと動き出したはるかを見送りながら、次回の修羅ツアーではたくさんの参加者があればいいのにと思った。

香港のアンティークウォッチ店の現状は、香港バブル経済の終息とともに、ホテルアーケードなど繁華街の好立地店舗がまず閉店・撤退し、長引くスポロレブームによって品薄の悪循環をもろに受けた比較的日本ビイキの店が閉店、独自のネットワークと特徴を生かした品揃えで地元民に溶け込んだローカル店が生き残った。

親父の店にしても、ダイヤをちりばめたパテックやカルティエ、18Kのポケットウォッチ、マニアックなユニバーサルのクロノやロンジン、ティファニーの18KPGなど多彩な品揃えが自慢だ。クルーザーでパーティーをする財界人から電池交換にやってくるおばちゃんまで客層も多彩で、日本のようにロレックス一辺倒ではない。そういう意味では、ロレックスにこだわる私の修羅ツアーはまだまだ未熟で、本当の魅力を引き出すにはもっと修行を積まなければならない。

読者のみなさま、どうもありがとうございました。シロウトの気ままな書きこみですので、お見苦しい点はどうかご容赦ください。間違いにお気づきの方はご面倒ですが直メをいただければ謹んで訂正させていただきます。お読みになって興味を持たれましたら、ぜひ次回香港修羅ツアーにご参加ください。カリメロさんと共に大いに盛り上がりましょう。末筆ながら監修をお引き受けくださったカリメロさん、企画・校正・管理すべてをプロデュースしてくださった銀次さんに感謝の意を表します。

捨ててしまって現品がないのに保証書だけで4.9諭吉分の引換券を頂き、少し追い金をしましたが手に入れたビジネストートーバッグ、これを使うたびに親愛なるカリメロさんを思い出せて幸せです。神様、どうもありがとうございました。

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