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再びホテルに荷物を置いて、地下鉄で香港島へ渡り天后(ティンハウ)にある大利清湯ナンで牛バラ麺を食す。いや、実際には私のオーダーミスで麺の入っていない牛バラ肉スープを食べた。麺が希望だったカリメロさんには申し訳ないことをしてしまった。

天后には2軒のアンティーク店がある。どちらも日本の時計雑誌に載っていた広告記事を頼りに探し出した店で、そういう意味では旨味は少ない。駅に近いほうの店は、かつて手巻きコスモや1016の文字盤、ブレス単体などを置いていて周辺部品に強い。古い小冊子や工具類などもあった。ここでカリメロさんは目的のひとつであったチュードルクロノ(‘90年製 約19諭吉)を見つけてかなり思案していたが、結局見送った。でも私はこの決断は正解だったと思う。本当に欲しいものなら見た瞬間に購入を決めているべきであり、後はその時計に瑕疵がないかチェックし、最終決断する。あの迷い方は、本当に欲しかったものなのか悩んでいるようだった。

もう一軒の店はバブルバック系に強く、早くからネットで世界を相手に取引しているようだ。こちらの在庫は、アラビア偶数飛びインデックス・スモセコSSバブルバックが42諭吉、12連アラビア・ベージュマット・エンジンターンドベゼル18KYGバブルバックが67諭吉とかなり強気な値段であった。

トラムに乗ってコーズウェイベイへもどる。日本ではなくなってしまったソゴウでトイレを済ませアンティーク店を訪ねるが、改装中のためか閉店していた。もう一軒の店も閉店していた。かつてこの店ではプリンス・レイルウェイ・ジャンピングアワーなどを見せてもらったのだが・・・。

ロレックスの大きな看板を出している正規代理店を冷やかしたあと、喫茶店でコーヒーを飲みながらカリメロさんと今まで見た数々の時計について語り合う。

北角(バッコ)の市場の二階にある東實小館で夕食を食べる。ここ数年地元の人々の間で格安な美味しい店として超有名だ。料理長はアイデアマンでTVにも出演し、日本のガイドブックにも載るようになった。衛生面に関して言えば、他人と鍋をつつくのがどうも苦手という方にはお薦めできないが、味はホテルの一流店に引けは取らないと思う。スペアリブのマヨネーズあえ、風沙鶏(鶏の丸揚げ)、乾湿隷爆中蝦(エビのにんにく炒め)の3品で240ドルと格安、これらの料理、日本で食べられる所があれば少しくらい高くついてもよいと思っているのだがなかなか見つからない。今度はいろんな料理を大勢で食べたいものだ。

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